MSK-IMPACT検査とは
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MSK-IMPACT検査とは全米No1 がんセンターの最新遺伝子検査法
MSK-IMPACT検査は、ニューヨーク市にあるメモリアルスローンケタリングがんセンター(MSKCC)で生まれました。このがんセンターは、2014年度の全米No.1がん専門病院に選ばれたがん専門の病院です (U.S. News & World Report調べ)。そのような技術力も信頼度も世界最高レベルに高いがん専門の病院で2014年4月から開始された最新のがん遺伝子検査が、MSK-IMPACT検査です。MSK-IMPACT検査では、最新の機械を使って、個々の患者のがん細胞が含みうる410個のがん関連遺伝子の遺伝子情報を調べます。
http://www.mskcc.org/pressroom/press/landmark-gift-100-million-marie-josee-and-henry-r-kravis-foundation-will-support-groundbreaking-approach-precisi
はじめに ― がん細胞の遺伝子情報の重要性
がんは、従来、発生した場所や、顕微鏡での見た目、がん細胞の形(どの正常細胞に類似するか)によって分類され、特性を調べられてきました。 例えば、肺に発生した場合は肺がん、がん細胞が肺の扁平上皮細胞に類似していれば扁平上皮がん、腺組織とよばれる上皮組織に類似していれば腺がんと分類されます。 しかし、同じ「腺がん」や「扁平上皮がん」として分類される肺がんでも、抗がん剤に対する反応 (感受性)は様々です。原因の一つとして、従来の分類上は同じがんでも、中身(性質)が異なる可能性が指摘されています。 この「がんの性質」を決定しているのは、「遺伝子」と呼ばれる細胞の設計図です。 したがって、従来の方法によるがんの分類に加えて、がん細胞の持つ遺伝子の情報が、それぞれのがんの特性を知る重要な手掛かりになります。
がん細胞の遺伝子情報を知るメリット ― 分子標的治療とは
がん細胞の遺伝子情報を知ることで、どのようなメリットがあるのでしょうか。実は、がん細胞の遺伝子情報を知ることで、治療効果が予測できるようになる抗がん剤が知られています。その代表例が、分子標的薬と呼ばれる抗がん剤です。 分子標的薬とは、ある特定のがん細胞だけにとりわけ多くみられる分子のみを標的として効果を発揮するよう設計された抗がん剤です。このような分子標的薬による治療を、分子標的治療と呼び、近年数多くの分子標的薬が開発され、様々ながんに対して効果を示しています。 従来の抗がん剤は、正常細胞を含む全ての細胞を攻撃するように設計されています。他方、分子標的薬は、がん細胞だけに強く作用するよう設計されているため、副作用をより少なく抑えながら治療効果を高めることができると期待されています。 分子標的薬は、標的分子が対象である患者のがん細胞に存在しないと効果を発揮できません。そのため、分子標的治療では個々の患者のがん細胞の遺伝子情報を知ることが極めて重要になります。
MSK-IMPACT検査の特徴
がん細胞の遺伝子情報を調べる検査には様々なものがあり、MSK-IMPACT検査以前から実用化されています。しかし、従来の検査の多くは、1回の検査につき1個の遺伝子情報を検出するだけのものでした。 MSK-IMPACT検査では、1回の検査で410個のがん関連遺伝子情報を調べることができます。この410個の遺伝子のうち、約40の遺伝子に関しては、既にその分子を標的とした抗がん剤が存在しています。 未認可の抗がん剤などもを含めれば、更に多くの分子標的薬による治療の可能性を知ることができます。 つまり、MSK-IMPACT検査は、膨大な量のがん関連遺伝子情報を一度に調べることで、従来の検査よりも手軽に、個々の患者ごとに抗がん剤の効果を予測することを可能にします。また、MSK-IMPACT検査によって、有効であることが予測される抗がん剤が新たに見つかる可能性もあります。

例えば、肺腺がんの場合、従来の遺伝子検査では全体の約55%にしか遺伝子変異を検出できませんでした(上記モデル図参照)。 これに対し、MSK-IMPACT検査では、肺がんの場合、90%以上の患者についてがん関連遺伝子における遺伝子変異を検出することが可能です。加えて、既に実用化されている分子標的薬が標的とする遺伝子に関する何らかの変異については、約85%の患者について検出することができます。 もっとも、検出した遺伝子変異に対応する分子標的治療薬の効果には個人差があり、対応する分子標的治療薬が必ず治療に結びつくことを保証するものではありません。そうであっても、より効率的に適切な治療を受けるために、より多くの遺伝子情報を得てそれぞれのがんの特徴を正確に判定し、その上で投与する分子標的治療薬を決定することがとても重要なのです。
MSK-IMPACT検査を希望される方へ
本検査は以下の方を対象とした検査です。
- がんにかかったことがあり、手術や組織生検でがん組織(検体)を採取した方
- 全てのがん種を対象とします(骨転移腫瘍および原発性骨腫瘍を除く)